■第四十三回■
伝染るんです。(吉田戦車)

あなたの手にとったこの本は、
 正しい乱丁です。

【作品概説】
 かわうそ君や王様、シークレット奥さんをはじめとする奇妙な人達が登場する、不条理に彩られた四コマワールド!

【所感】
 この作品は、それまでの四コマ漫画の常識を破壊した作品である。漫画のことを少しでも知っている人なら、『四コマ漫画の基本は起承転結(注1)』という話を聞いたことがあるだろう。しかしこの作品はそんな枠に捉われない。いわゆるオチというものがないのも当たり前の、不条理とも言える四コマが続いていくのだ。当然、読んでいて何が面白いのかサッパリ分からない人もいるだろう。しかしこの作品が大人気となりアニメ化、ゲーム化までされたことから、理解できたのはごく一部、というわけでもないことが分かる。ある意味、とても『危険』な作品でもある。
 雑誌に掲載された時も色々と評判になったが、単行本はさらにスゴイ。『正しい乱丁』という言葉を使っているように、この作品は単行本でもその異常性を発揮している(注2)。単行本発売日に出版社に問い合わせが殺到したことは想像に難くないほどだ。
 ここまで書いておきながらこんなことを言うのもなんだが、ハッキリ言ってこの作品は言葉で説明するのものではないのかもしれない。とにかくこの作品、あなたが理解できるかどうかは分からないが、一度は手に取って読んでみることをオススメする。(2006年9月19日)

(注1)起承転結というのは、元々は中国の漢詩・絶句の構成である。そこから転じて、物語の導入から終了までの構成を表す表現として使われるようになった。
(注2)全く同じ内容のページがあったり、印刷が斜めになっていたり。本のカバーもそでの長さが違うし、真っ白いページもある。第一巻の帯には『’75は吉田のものだ!!』と書かれていたり(連載開始は(1989年)、あとがきも途中から途中までととにかくおかしな点が多い。

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