■第四十九回■
ウイングマン(桂正和)

ケン太が 夢を持ちつづけるかぎり ウイングマンは現れます
 そして 健太が 正義の味方≠ナあるかぎり
 大きく はばたく日が いつか また…
 きっと

【作品概説】
 中学生の広野健太(ひろのけんた)は自作のコスチュームでヒーローの真似事をするほどのヒーロー好き。そんな彼はある日、異次元人のアオイと出会い、書いたことがその通りになる『ドリムノート』を手に入れ、自分が空想していたヒーロー・ウイングマンに本当に変身ができるようになる。
 地球を救うため、ウイングマンとして戦う健太は、幾多の戦いを通じて、ヒーローとして成長していくのだった。

【所感】
 この作品の最も評価すべきところは、メインストーリーとそれに付随するエピソードの作り方だろう。元々、ヒーロー番組のパロディ的な感じで始まった作品であったが、物語の作り方はヒーローモノの王道とも言える展開となっている。
 王道というのはある意味、『お約束』的な部分であるが、逆に言えば普遍的に受け入れられるということでもある。ヒーローモノらしい『燃える展開』がアチコチに用意されているということだ。必殺技、ライバル、変身の制限時間、仲間たちとの協力、謎の助っ人、そして主人公の成長といった押さえるべきところ(注1)も押さえてあるし、戦闘シーンもカッコ良く描かれていて、しっかりとひとつの『ヒーローモノ』を作り上げている。
 終盤において、これまで戦いと直接的に関わりのなかった普通の人々の心に正義を目覚めさせ、その力を借りて地球を救うという展開は、本当の意味でのヒーローという感じがするし、初期からのライバルであるキータクラーと決着をつける(注2)、というのもアツイ展開である。主人公である健太も普段はおちゃらけた感じだが、キメる時にはしっかりとキメていて、好感が持てる。
 こういったヒーローモノという部分でも優れた作品だが、くだけた雰囲気のギャグ的な部分があったり、ラブコメ的な要素も上手く盛り込んであったり、様々なタイプの女の子を登場させて活躍させたりと、ヒーロー番組とは違った独特のテイストも持っている。
 幼い頃に誰もが憧れたヒーローへの夢を叶えた健太の物語を、ぜひ手に取って欲しいと思う。
 ところで、ヒーローモノということで、数々の特撮番組やロボットアニメなどからのパロディ的な部分(注3)も多く見られるが、それはご愛嬌というものだろう。(2006年12月18日)

(注1)その他にもロボットに変身するバイクがあったり、周囲の時間を止めてしまうポドリアルスペースというものがあったりする。
(注2)他作品において、『お前は俺が倒す』とか言っておきながら決着がつかないままのライバルが多い中で、これはかなり評価できる部分である。
(注3)例えばスパイラルカットはアイスラッガー、ファイナルビームはブレストファイヤー、デスボールは超電磁ボールがモチーフと思われる。そんな中でデルタエンドはモチーフが見当たらないため、オリジナルの必殺技と思われる。

マンパクトップに戻る  ホームに戻る